歯ぎしり・食いしばりは歯を壊す?ナイトガード治療と放置リスクを徹底解説
本記事は、歯ぎしり・食いしばりの原因・放置リスク・ナイトガード治療の種類と費用・日常ケアまでを網羅的に解説します。
歯ぎしり・食いしばりとは何か?その種類と原因を知ろう
「歯ぎしり・食いしばり」とは、睡眠中や集中時に無意識に上下の歯を強くこすり合わせたり噛みしめたりする習癖で、医学的には「ブラキシズム」と呼ばれます。成人の約70%以上が経験しているとされますが 、自覚なく進行するケースがほとんどです。
ブラキシズムには主に3つの種類があります。
- グラインディング…上下の歯をギリギリとこすり合わせるタイプ。音が出るため家族に気づかれやすい。
- クレンチング(食いしばり)…歯を強く噛みしめるタイプ。音がしないため自覚しにくく、昼夜を問わず発生する。
- タッピング…歯をカチカチと噛み合わせるタイプ。ダメージは比較的少ないが自覚しやすい。
起床時の食いしばりは成人の約20〜30%、睡眠時の歯ぎしりは約8〜10%にみられるという報告もあります 。また、小児では10〜20%、成人では約5〜8%に睡眠時の歯ぎしりが確認されており、加齢とともに減少する傾向があります。
歯ぎしり・食いしばりの主な原因は?
原因の筆頭は「ストレス」です。精神的な緊張や不安が、睡眠中に無意識の歯ぎしりとして発散されると考えられています。そのほか、以下の要因も関与します。
- 噛み合わせ・骨格の問題…詰め物の高さが合わない、歯並びの不良など。
- 生活習慣…飲酒・喫煙・カフェインの過剰摂取が歯ぎしりを悪化させる可能性がある。
- スポーツや集中時の習慣…力を入れる際に歯を食いしばる癖が睡眠中にも現れる。
- TCH(歯列接触癖)…安静時にも上下の歯を接触させ続ける習癖。デスクワークやスマホ操作中に多い。
TCH(Tooth Contacting Habit)は、顎関節症を抱える患者の多くにみられ、長時間の微弱な力の蓄積が顎や歯のトラブルにつながると報告されています 。
放置するとどうなる?歯ぎしり・食いしばりの5つのリスク
歯ぎしり・食いしばりを放置すると、歯だけでなく顎・全身に深刻なダメージが蓄積します。成人男性の歯ぎしりでは、歯や歯周組織に50〜60kg、場合によっては100kg近くの力がかかるとされています 。
①歯の摩耗・破折(咬耗)
人体で最も硬い組織であるエナメル質同士をこすり合わせることで、歯が削れていきます。これを「咬耗(こうもう)」と呼びます。長期的には詰め物・被せ物の破損、さらには歯が割れる(破折)リスクも高まります。
②知覚過敏
エナメル質がすり減ると、歯の神経までの距離が近くなり、冷たいものがしみる「象牙質知覚過敏症」を起こしやすくなります。症状が進行すると治療が必要となる場合もあります。
③顎関節症の発症・悪化
歯ぎしりによる過度な力が顎関節やその周囲の筋肉にかかると、顎関節症(TMJ障害)が起こりやすくなります。口の開けにくさ・開閉時の異音(カクカク音)・顎の痛みなどが代表的な症状です。噛む筋肉(咬筋・側頭筋)が緊張し続けることで、慢性的な痛みが持続しやすくなります。
④頭痛・肩こり・全身症状
顎の筋肉がこわばると、こめかみから後頭部にかけて痛みが波及し、頭痛の原因となります。首や肩の筋肉にも力が入りやすくなり、慢性的な肩こりや腰痛に悩まされるケースも少なくありません。「朝起きると顎や首が重い」という方は、歯ぎしりとの関連を疑う必要があります。
⑤歯周病の悪化・歯並びの変化
歯ぎしりは歯周病で弱った歯や歯茎に余計な負担をかけ、「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」と呼ばれる歯周組織の病気の原因にもなります。また、過剰な咬合圧が歯列にかかり続けると、歯並びや噛み合わせが悪化し、咀嚼能率や清掃性の低下につながります。
さらに、強い咬合圧が持続的に加わることで「骨隆起」(顎の骨の一部が過成長した状態)が生じることもあります。骨隆起は病気ではありませんが、将来的に入れ歯の装着を妨げる原因になり得ます。
ナイトガード治療とは?その効果と仕組みを教えて
「ナイトガード」とは、就寝中に装着する樹脂製のマウスピースで、上下の歯が直接当たらないようにすることで歯・顎を保護する装置です。現在、歯ぎしり・食いしばりに対して最も一般的に行われている治療法です。
ナイトガードには主に3つの効果が期待できます。
- 歯の保護…歯に加わる力を分散させ、歯のすり減り・欠け・割れを防ぐ。詰め物・被せ物を長持ちさせる効果もある。
- 顎関節への負担軽減…顎関節症の予防・改善につながる。朝の顎の痛みや頭痛が軽減されるケースも多い。
- 歯ぎしりの程度の把握…装着後のナイトガードの摩耗状態を確認することで、歯ぎしりの有無・程度を客観的に評価できる。
また、顎の筋肉の緊張が緩和されることで、肩こりや睡眠の質の改善が期待できる場合もあります。
ナイトガードの種類と選び方
ナイトガードには「ソフトタイプ」と「ハードタイプ」の2種類があります。
- ソフトタイプ…ゴム・ビニール樹脂製で柔らかく、装着時の違和感が少ない。初めての方や軽度の症例に適している。ただし、歯ぎしりの力が強い場合は穴が空きやすく、耐久性はハードタイプより劣る。
- ハードタイプ…レジン(硬い樹脂)製で耐久性が高く、顎関節症や歯ぎしりの改善効果はより高いとされる。装着時の違和感はやや強いが、慣れれば問題なく使用できる。
一般的には、まずソフトタイプから使い始め、症状の改善が見込めない場合にハードタイプへ移行するのが無難とされています 。厚みも1.5mm・2mmなど複数あり、症状に応じて歯科医師が選択します。
歯科医院製と市販品の違いは?
市販品はお湯で柔らかくして歯に合わせるタイプが多く、手軽に入手できる反面、適合が悪く違和感が強いのがデメリットです。一方、歯科医院で作るカスタムメイドのナイトガードは、患者さん一人ひとりの歯型に合わせて圧接・作製するため、フィット感が高く、症状に応じた適切な調整が可能です。医学的な観点からきちんと治したい方には、歯科医院でのカスタムメイドが強く推奨されます。
ナイトガードの費用はいくら?保険適用の条件を確認しよう
ナイトガードは保険適用で作製できます。3割負担の場合、費用はおよそ3,000〜5,000円程度です。保険適用外(自費)の場合は約15,000円前後となります(渋谷宮益坂歯科、2023年1月現在)。
保険適用のナイトガードは、半年が経過すれば再度保険適用で新製することができます。マウスピースは使用頻度や歯ぎしりの強さによって異なりますが、一般的な寿命は約1年とされています。定期的に歯科医院でチェックし、穴が空いていたり変形がある場合は交換を検討しましょう。
なお、ナイトガードはあくまで歯・顎を「守る」装置であり、歯ぎしりそのものを根本的に治す治療ではありません。使用を続けながら、ストレスケアや噛み合わせ調整などを並行して行うことが大切です。
ナイトガードのお手入れ・使い方はどうすればよいか?
ナイトガードを清潔に保つことは、口腔衛生の維持と装置の長寿命化に直結します。正しいお手入れ方法を守りましょう。
- 使用後は流水下で柔らかめの歯ブラシを使って洗う。
- 歯磨き粉は使用しない(装置を傷つける原因になる)。
- 熱湯での洗浄は変形の原因になるため避ける。
- 目に見えない汚れや細菌を取り除くために専用洗浄剤を定期的に使用する。
- 専用のプラスチック容器に入れて保管する(紛失・破損防止)。
ハードタイプは乾燥により変形する可能性があるため、容器に清潔な水を入れて水中で保管することが推奨されます。ソフトタイプは乾燥による劣化が少ないため、水に浸す必要はありません。
使用開始時は違和感や顎の痛み・口の渇きが生じる場合があります。また、ナイトガードを装着することで歯ぎしりや食いしばりが一時的に強くなるケースもあります。気になる症状があれば、担当の歯科医師に早めに相談してください。
日常生活でできる歯ぎしり・食いしばりの改善策は?
ナイトガード治療と並行して、日常生活での習慣改善も重要です。歯ぎしりを悪化させる要因を取り除くことで、症状の軽減が期待できます。
ストレスケアと生活習慣の見直し
歯ぎしりの最大の原因とされるストレスを軽減することが、改善への近道です。以下の点を意識しましょう。
- カフェイン・アルコール・喫煙を控える…これらは歯ぎしりを悪化させる要因として挙げられています。
- 寝る姿勢を整える…横向き・うつ伏せで長時間同じ姿勢で寝ることは避け、枕は高くしすぎない。
- 就寝前のリラクゼーション…深呼吸やストレッチで心身の緊張を緩める。
TCHへの対処法
TCH(歯列接触癖)を減らすには、「歯と歯を離す」意識を日常に取り入れることが第一歩です。パソコン作業やスマホ操作の合間に、1時間に一度ほど顎を軽く動かしたり、深呼吸をして上下の歯を離す習慣をつけましょう。
顎周辺のストレッチ・マッサージ
口を軽く開けて上下・左右に顎をゆっくり動かすストレッチや、頬の咬筋・こめかみ(側頭筋)をやさしく指圧するマッサージが、筋肉の過緊張を和らげるのに有効です。理学療法士による手技療法と自宅エクササイズを組み合わせることで、顎の痛みや睡眠の質が改善したという報告もあります。
赤坂・港区で歯ぎしり・ナイトガード治療を受けるなら
歯ぎしり・食いしばりのサインに気づいたら、早めに歯科医師へ相談することが大切です。放置すればするほど、歯・顎・全身へのダメージが蓄積していきます。
赤坂ONO Dental Clinicは、赤坂駅7番出入り口から徒歩1分の好立地にあり、平日(月・水・木)は22時まで、土日は18時まで診療しています。口腔内カメラを使った丁寧なカウンセリングのもと、患者さん一人ひとりの状態に合わせたナイトガード治療・噛み合わせ調整を提案しています。CT・マイクロスコープなどの精密機器と、クラスB滅菌器による世界基準の感染対策を完備しており、安心して通院いただけます。WEB予約にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問
歯ぎしりは自分で気づけますか?
睡眠中の歯ぎしりは自覚が難しく、パートナーや家族からの指摘で初めて気づくケースがほとんどです。朝起きたときの顎の疲れ・頭痛・歯の摩耗などのサインを見逃さないことが重要です。
ナイトガードは保険で作れますか?
保険適用で作製でき、3割負担でおよそ3,000〜5,000円程度です。半年経過後に再度保険適用で新製することも可能です。
市販のマウスピースと歯科医院製ナイトガードの違いは何ですか?
歯科医院製はお口の型に合わせたカスタムメイドでフィット感が高く、症状に応じた調整が可能です。市販品は適合が悪く違和感が強い場合が多く、医学的な効果は限定的です。
ナイトガードを使えば歯ぎしりは治りますか?
ナイトガードは歯・顎を「守る」装置であり、歯ぎしりそのものを根本的に治すものではありません。ストレスケアや噛み合わせ調整と組み合わせることが大切です。
ナイトガードはどのくらいの頻度で交換が必要ですか?
一般的な寿命は約1年とされています。歯ぎしりが強い場合はより早く摩耗・変形するため、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことを推奨します。
子どもにも歯ぎしりはありますか?
子どもの歯ぎしりは乳歯から永久歯への生え変わりに伴う不快感が主な原因です。永久歯に生え変わった後に自然に解消することが多く、過度に心配する必要はありません。
食いしばりは昼間も起こりますか?
クレンチング(食いしばり)は昼夜を問わず発生します。デスクワーク中や集中時に無意識に行っているケースが多く、TCH(歯列接触癖)として問題になることもあります。
歯ぎしりを放置すると歯が抜けることはありますか?
直接的な原因にはなりにくいですが、歯周病の悪化・咬合性外傷・歯根破折などを通じて、最終的に抜歯が必要になるリスクがあります。早期対処が重要です。
ナイトガードのお手入れ方法を教えてください。
使用後は流水と柔らかい歯ブラシで洗い、歯磨き粉・熱湯は使用しないでください。専用洗浄剤を定期的に使い、専用容器に保管することで清潔を保てます。
歯ぎしりと顎関節症はどう関係していますか?
歯ぎしりによる過度な力が顎関節に繰り返しかかることで、顎関節症(口の開けにくさ・異音・痛み)を発症・悪化させます。ナイトガードで顎への負担を軽減することが予防につながります。
結論
歯ぎしり・食いしばりは「たかが癖」と放置せず、早期に歯科医師へ相談することが最善策です。保険適用のナイトガード(3割負担で約3,000〜5,000円)は、歯の摩耗・顎関節症・頭痛など多岐にわたるリスクを防ぐ最も確実な方法です。ストレスケアや生活習慣の改善と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。「朝起きると顎が疲れる」「歯が削れてきた気がする」と感じたら、それが受診のサインです。
監修者プロフィール
院長 小野 雄大(おの たけひろ)先生

略歴
– 2015年3月:岩手医科大学 歯科医師臨床研修 修了
– 医療法人(秋田)、岩手医科大学放射線科、神奈川県内医療法人などで幅広く勤務
– 2024年2月:赤坂ONO Dental Clinic 開業
診療スタンス
– 丁寧なカウンセリングを重視し、口腔内写真やレントゲンを用いて現在の状態をしっかり説明
– 患者さまに治療内容のメリット・デメリットを理解していただいた上で選択してもらう治療方針を実践
– 自身も歯科治療の経験があることから、「患者さまに寄り添う治療」を大切にしている

