口の中が乾くのはなぜ?ドライマウスの原因と虫歯・歯周病予防のポイント
- 2026年3月24日
- 予防歯科
最近、口の中が乾いて不快に感じることはありませんか?
「ドライマウス」は、単なる一時的な症状と思われがちですが、実は虫歯や歯周病、さらには誤嚥性肺炎など深刻な健康リスクにつながる可能性があります。
現代社会では推定800万人もの方がドライマウスに悩まされており、その数は年々増加傾向にあります。ストレス社会、高齢化、服薬の増加など、私たちを取り巻く環境がドライマウスを引き起こしやすくしているのです。
この記事では、赤坂ONO Dental Clinicの院長として多くの患者様と向き合ってきた経験から、ドライマウスの原因、それが引き起こす口腔トラブル、そして効果的な予防法について詳しく解説します。

ドライマウス(口腔乾燥症)とは?
ドライマウスは、医学的には「口腔乾燥症」と呼ばれる症状です。
唾液の分泌が減少することで口腔内が乾燥し、様々な不快症状や健康リスクを引き起こします。近年の生活習慣や加齢に伴う症状として、特に女性に多く見られる傾向があります。
唾液には「口腔内の洗浄」「粘膜の保護」「抗菌作用」「免疫作用」「口腔内を中性に保つ作用」「食べ物を消化する作用」「初期虫歯を修復する作用」など、多くの重要な働きがあります。
この唾液が減少すると、口の中の健康を保つ機能が低下し、様々なトラブルが発生しやすくなるのです。
ドライマウスの主な症状
以下のような症状に心当たりはありませんか?
- 口の中が常に乾燥している
- 口の中がネバネバする
- 水をよく飲みたくなる
- クッキーなど乾いた食べ物が飲み込みにくい
- 長時間の会話がしにくい
- 舌がザラザラする、ひび割れている
- 舌が痛い
- 唇が乾燥してひび割れる
- 口臭が強くなってきた
- 味覚の変化を感じる
- 口内炎が頻繁にできる
これらのうち1つでも当てはまるものがあれば、ドライマウスの可能性が高いと考えられます。
ドライマウスの原因
ドライマウスは「加齢現象」として諦められがちですが、実は様々な要因が複雑に絡み合って発症します。
1. 薬の副作用
薬剤の約80%には副作用として「口腔乾燥」を引き起こす作用があると言われています。
特に以下の薬剤には注意が必要です・・・
- 降圧剤
- 抗うつ薬、抗不安薬
- 抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)
- 抗パーキンソン病治療薬
- 利尿薬
- カルシウム拮抗薬
特に5種類以上の薬を服用している方は、ドライマウスのリスクが非常に高くなります。更年期障害の治療で処方される抗うつ剤の副作用で口が乾燥する女性も多く見られます。
2. ストレスや緊張
精神的なストレスや緊張状態になると、交感神経が優位になります。
この状態では唾液腺の働きが抑制されるため、口の中が乾燥しやすくなります。現代のストレス社会において、この要因は非常に大きな影響を及ぼしています。
3. 加齢
年齢を重ねるとともに唾液腺の働きが低下し、唾液の分泌量が減少する傾向があります。
ただし、これは加齢そのものよりも、高齢者になると全身疾患や服薬が増えることと深く関係していると考えられます。年齢だけで唾液が減るという強い根拠は、現時点では明確ではありません。
4. 生活習慣
日常の習慣もドライマウスの原因となります・・・
- 喫煙:タバコを吸うと自律神経の働きにより唾液の分泌が低下します
- アルコールの過剰摂取:利尿作用により体内の水分が失われ、口腔内も乾燥します
- カフェインの摂りすぎ:コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインにも利尿作用があります
- よく噛まない食習慣:顎を動かすことで唾液腺が刺激されますが、柔らかいものばかり食べていると唾液が出にくくなります
- 会話の減少:スマホやパソコンでのコミュニケーションが増え、実際に喋る機会が減ると口の筋肉が使われず、唾液が出にくくなります
5. 口呼吸
鼻呼吸ではなく口で呼吸する習慣がある方は、常に口腔内の水分が蒸発しやすい状態です。
歯並びが原因で口が閉められない場合や、アレルギー性鼻炎などの鼻疾患がある場合、睡眠中の口呼吸、歯ぎしり、食いしばり、いびき、無呼吸症候群なども口腔乾燥の原因となります。
6. 全身疾患
以下のような病気もドライマウスを引き起こす原因となります・・・
- シェーグレン症候群:自己免疫疾患で、涙腺・唾液腺が破壊され分泌量が減少します
- 糖尿病:重度の糖尿病では唾液腺に障害が起こり、口腔乾燥症になります
- 関節リウマチ
- うつ病
- 自律神経失調症
- 放射線治療:顎顔面の腫瘍治療で放射線治療を行うと唾液腺の機能に障害が生じます

ドライマウスが引き起こす口腔トラブル
ドライマウスを放置すると、様々な深刻な問題が発生します。
1. 虫歯や歯周病のリスクが高まる
唾液は口腔内の酸性度を調整し、細菌の増殖を抑える重要な役割を果たしています。
唾液の分泌が減少すると細菌の増殖が進みやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが大幅に高まります。特に歯周病は、唾液による自浄作用や免疫作用が低下することで急速に進行する可能性があります。
本来、歯茎の表面は唾液によって保護され、自浄作用があり、抵抗力を維持しています。また、歯周病菌は唾液中の白血球、リンパ球、貪食細胞によって活動を抑えられています。ドライマウスになると歯周病菌の活動が活発になり、唾液中の免疫細胞が歯茎に到達できないため、歯茎が炎症を起こして腫れ、歯を取り巻く骨が吸収されるなどの症状が進み、歯周病が悪化してしまいます。
2. 口臭の悪化
唾液が少ないと口の中が乾燥し、食べかすや細菌が増えることで口臭が強くなります。
口臭は自分では気づきにくい場合もあり、対人関係に悪影響を及ぼすこともあります。
3. 口内炎や舌のひび割れ
唾液が少ないと口内が乾燥し、粘膜が保護されないため、ちょっとしたことで傷つきやすくなります。
その結果、口内炎が頻繁にできたり、舌がひび割れて痛みを感じたりすることがあります。特に食事中に痛みを感じやすくなり、食事が不快になることもあります。
4. 味覚障害
唾液は味の情報を運ぶ役割もしています。
唾液が減ることでその働きが衰え、味覚を正常に感じられなくなる「味覚障害」を起こすことがあります。食事の楽しみが減り、生活の質が低下する可能性があります。
5. 飲み込みの困難と消化不良
普段は意識しませんが、ものを飲み込む際には唾液が大きな役割を果たしています。
唾液が少なくなることにより、ビスケットなど水分の少ない食品を飲み込むことが困難になったり、唾液によって食物が消化されないため、胃腸にも負担がかかります。
6. 感染症のリスク増加
唾液がなくなると、外部からのウイルスや細菌に対して免疫力が働きにくく、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
7. 誤嚥性肺炎のリスク
特に高齢者の場合、スムーズに飲み込めなくなることにより、食べ物が気道に入り誤嚥性肺炎を起こすリスクが高まります。
これは命に関わる深刻な問題です。

ドライマウスの効果的な対策と予防法
ドライマウスは適切な対策を行うことで改善・予防が可能です。
1. 唾液腺マッサージ
唾液腺を刺激するマッサージは、唾液の分泌を促進する効果的な方法です。
主な唾液腺は以下の3つです・・・
- 耳下腺:耳の前、頬の上部にあります
- 顎下腺:顎の骨の内側、柔らかい部分にあります
- 舌下腺:舌の下、顎の先端の内側にあります
これらの部分を優しくマッサージすることで、唾液の分泌が促進されます。最近では口腔内のマッサージをして唾液腺を刺激するケアをしてくれるオーラルサロンもあります。
2. よく噛む習慣をつける
一口30回噛むことを心がけましょう。
唾液は顎を動かすことによって唾液腺が刺激されて分泌されます。ものをかんだりするなど、顎を使う機会が減るほど、ドライマウスになる傾向が強まります。咀嚼筋を使わないと唾液腺の委縮を起こしますが、食べ物の硬さの調整や咀嚼の回数を増やすことにより、回復することもあります。
3. 十分な水分補給
こまめな水分補給は、口腔内の乾燥を防ぐ基本的な対策です。
水分が補充されることで、唾液の分泌を促し、乾燥感を軽減することができます。唾液が少ない方は、一日に何回も水でよくゆすぐことも効果的です。
4. キシリトールガムの活用
キシリトール100%入りのガムや無糖の飴を舐めることで、唾液の分泌が刺激され、口の中が潤いやすくなります。
ただし、糖分が含まれた製品は虫歯のリスクを高めるため、注意が必要です。
5. 口腔保湿剤の使用
市販されている口腔保湿ジェルや人工唾液を使用すると、口腔内を潤す効果が期待できます。
保湿ジェルは口の乾きを軽減し、潤いを長時間保つ助けになります。特に就寝前に使用すると効果的です。医薬品としては「人工唾液サリベート」があり、ジェルタイプ、洗口液タイプ、スプレータイプなど様々な形状の製品があります。
6. 生活習慣の改善
以下のような生活習慣の見直しが重要です・・・
- 禁煙:喫煙は唾液分泌に悪影響を与えます
- アルコール・カフェインの摂取を控える:過度の飲酒やカフェイン摂取を見直しましょう
- 口呼吸を鼻呼吸に変える:意識的に鼻呼吸を心がけることで口腔内の乾燥を防げます
- 規則正しい生活:十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけましょう
- ストレスをためない:適度な運動やリラックスする時間を持つことが大切です
7. 室内の湿度管理
室内が乾燥していると口の中も乾燥しやすくなるため、加湿器を使用して適度な湿度を保つことが効果的です。
特に寝室で加湿器を使うと、睡眠中の口腔乾燥を防ぐことができます。夜寝るときにマスクをすることでも口の乾燥を防ぐことができます。
8. 薬の見直し
現在多種類の薬を服用中の方は、可能であれば担当医と相談して薬を減らしてもらうことも検討してください。
薬の副作用がドライマウスの原因となっている場合、薬剤の調整で症状が改善することがあります。
9. 医療的な治療
症状がひどい場合には、歯科医院での診断を受けることが推奨されます。
唾液分泌促進薬(セビメリン塩酸塩水和物、エボザック、ピロカルピン塩酸塩など)の処方や、漢方薬(麦門冬湯、白虎加人参湯、温経湯、八味地黄丸など)による治療が行われることがあります。また、ナイトガード(保湿装置)を使用することで、夜間の口腔乾燥を防ぐことも可能です。

歯科医院での定期的なケアの重要性
ドライマウスの方は、歯周病菌を自力で排除することが難しい状態です。
歯磨きや水でのゆすぎである程度は洗い流せますが、歯周ポケットの中の菌はなかなか排除できません。そのため、最低でも3ヵ月に一回、歯科医院で歯のクリーニングを受けてきれいに取り除くことが非常に重要です。
当院では、ドライマウスの検査や治療も行っています。口腔内カメラを使用してカウンセリングをしっかり行い、患者様一人一人に合った治療をご提案いたします。カンジダ菌の関与も考えられるため、細菌検査を行うなど、早めに対応することが大事です。カンジダ菌が減ることで、症状が緩和されやすくなります。
「ちょっと最近口が乾きやすくて…」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
ドライマウスは単なる「口の乾き」ではなく、虫歯、歯周病、誤嚥性肺炎など深刻な健康リスクにつながる症状です。
原因は薬の副作用、ストレス、加齢、生活習慣、口呼吸、全身疾患など多岐にわたります。しかし、唾液腺マッサージ、よく噛む習慣、十分な水分補給、生活習慣の改善など、日常生活でできる対策も数多くあります。
ドライマウスは放置せず、早めに対処することが大切です。症状が気になる方は、専門的な診断と治療を受けることをお勧めします。
赤坂駅から徒歩1分、平日22時まで診療している赤坂ONO Dental Clinicでは、ドライマウスの検査・治療から虫歯・歯周病予防まで、患者様一人一人に寄り添った丁寧な診療を行っています。お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
院長 小野 雄大(おの たけひろ)先生

略歴
– 2015年3月:岩手医科大学 歯科医師臨床研修 修了
– 医療法人(秋田)、岩手医科大学放射線科、神奈川県内医療法人などで幅広く勤務
– 2024年2月:赤坂ONO Dental Clinic 開業
診療スタンス
– 丁寧なカウンセリングを重視し、口腔内写真やレントゲンを用いて現在の状態をしっかり説明
– 患者さまに治療内容のメリット・デメリットを理解していただいた上で選択してもらう治療方針を実践
– 自身も歯科治療の経験があることから、「患者さまに寄り添う治療」を大切にしている

