歯科用CTの使いどころ
- 2024年9月26日
- 一般歯科
【歯科用CTとは】
頭頚部を極小の距離でスライス撮影(当院のCTは75~150㎛=0.075~0.15mm間隔でスライス撮影)それらをコンピューターで重ね合わせ3D化したものです。
歯科用CTは医科で使われているCTとは異なり、頭頚部のみを簡単に高解像度で撮影できるように改良されたCT撮影装置です。 3次元で立体的に顎や骨の状態をとらえられます。
【歴史】
歯科用CTは1996年に販売開始されました。当時はイタリアで3台販売されたのみでした。日本では2000年ごろから大学病院などの大きな施設で取り扱いが始まりました。
現在では有用性が認められ多くの歯科施設で使用されています。
【被ばく】
CTと聞くと放射線の被ばくが気になることから撮影を拒否される方もいらっしゃいますが、歯科用CTは被ばくがありますが大きくはありません。
医科用CTは6.9m㏜程度
歯科用CTは0.1m㏜程度と医科と比較するとかなり低いことが分かります。
東京~ニューヨークを飛行機で1往復すると被ばく量は0.2m㏜程度です。
【歯科での主な使用方法】
〖インプラント〗
インプラントは人工の歯の根を骨の中に埋める治療です。
そのため骨の厚さ、インプラントの埋入方向の決定のために3次元的な撮影が必須になります。
〖親知らずの抜歯〗
下顎の骨には下顎管と呼ばれる神経と動脈が走行する管が存在します。
下顎管を損傷してしまうと神経麻痺や大量出血により死亡する可能性があります。
親知らずの根は下顎管近くに存在することが多いので両者の位置関係の把握が必要です。
〖神経処置や根管治療〗
歯の根の数、位置の確認。
歯の根の数は前歯、真ん中の歯、奥歯によって異なります。
真ん中に存在する歯は1~2本の根。
奥歯は3~4本程度の根の数が存在し、通常のレントゲンや目視では確認できない根もあります。
また、複数存在する根のうち病巣がどの根にあるかの確認も可能です。
そのため本来であればCTは必須なのですが、保険でCTを撮影可能なケースと撮影が難しいケースがあります。そのため全てを保険の治療で行うのはリスクが伴う場合があります。
〖破折の確認〗
歯が破折した場合、外から見ても正常に見えるケースなどが当てはまります。
根の先まで破折した場合は基本的には根の治療を行っても治すことはできません、抜歯が第一選択となるため、破折の確認のために撮影することがあります。
撮影しても小さい亀裂などは抽出されないこともあります。
その他として、歯周病による骨の欠損の位置確認や顎の骨折の確認、副鼻腔の炎症の有無の判別などにも使用できます。
近年、CTを扱う歯科医院が増えてきましたが、普及率は10~20%と言われています。
今後、インプラントや抜歯など確実な治療を行うための必須の機器になると思われます。
注意:古いCTや安いCTではスライス幅が厚く詳細の確認が難しい、金属のアーチファクトの除去ができず見にくい画像となるケースもあります。