糖尿病・高血圧でもインプラントは可能?知っておくべき条件と注意点を徹底解説
- 2025年11月18日
- インプラント
糖尿病や高血圧があってもインプラント治療は可能なのか
「持病があるから、インプラント治療は諦めるしかない」・・・そう思い込んでいませんか?
実は、糖尿病や高血圧などの全身疾患をお持ちの方でも、適切な条件と管理のもとであれば、インプラント治療を受けられる可能性は十分にあります。近年の歯科医療の進歩により、全身状態をしっかりと把握し、医科との連携を図ることで、多くの患者様が安全にインプラント治療を受けられるようになってきました。
私自身、赤坂ONO Dental Clinicの院長として、これまで数多くの全身疾患をお持ちの患者様のインプラント治療に携わってきました。その経験から申し上げると、「持病があるから無理」と一概に判断するのではなく、まずは現在の健康状態を正確に把握し、適切な治療計画を立てることが何より重要です。
この記事では、糖尿病や高血圧をお持ちの方がインプラント治療を検討される際に知っておくべき条件、注意点、そして治療を成功させるためのポイントについて、詳しく解説していきます。

糖尿病がインプラント治療に与える影響とは
糖尿病は、インプラント治療において特に注意が必要な全身疾患の一つです。
なぜなら、血糖値のコントロールが不十分な状態では、いくつかの重要なリスクが生じるからです。まず、高血糖状態が続くと免疫力が低下し、細菌感染に対する抵抗力が弱くなります。インプラント治療は外科手術を伴うため、術後の感染リスクが高まると、インプラントと骨の結合が阻害される可能性があるのです。
また、糖尿病の方は傷の治癒が遅れる傾向があります。インプラントが顎の骨としっかりと結合するためには、手術後の組織の治癒プロセスが正常に進むことが不可欠です。血糖値が高い状態では、この治癒プロセスが遅延し、インプラントの安定性に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、糖尿病は骨の代謝にも影響を与えます。骨の質や密度が低下すると、インプラント体を埋め込むための十分な骨量が確保できない場合や、インプラントの初期固定が得られにくくなる場合があります。
しかし、これらのリスクがあるからといって、糖尿病の方がインプラント治療を受けられないわけではありません。重要なのは、血糖値が適切にコントロールされているかどうかです。多くの歯科医院では、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という指標を用いて血糖コントロールの状態を評価します。一般的に、HbA1cが7.0%以下であれば、インプラント治療を安全に行える可能性が高いとされています。
ただし、この数値はあくまで目安であり、患者様の全身状態や他の要因も総合的に判断する必要があります。当院では、必要に応じて内科の主治医と連携し、患者様の健康状態を詳しく確認したうえで、治療の可否を慎重に判断しています。

高血圧とインプラント治療の関係性
高血圧も、インプラント治療を受ける際に考慮すべき重要な全身疾患です。
高血圧の方がインプラント手術を受ける場合、最も注意すべきは手術中および術後の出血リスクです。血圧が高い状態では、手術時の出血量が増加する可能性があり、これが治療の安全性に影響を与えることがあります。また、手術に伴うストレスや緊張により、血圧がさらに上昇するリスクも考慮しなければなりません。
さらに、高血圧の治療で抗凝固薬や抗血小板薬を服用している場合、血液が固まりにくくなるため、出血が止まりにくくなる可能性があります。ワーファリンなどの薬剤を服用している患者様については、内科の主治医と相談し、必要に応じて服薬の調整を行うことが重要です。
しかし、血圧が安定してコントロールされている場合には、インプラント治療を安全に行うことが可能です。治療前には必ず血圧測定を行い、患者様の状態を確認します。また、手術中も心拍数や血圧をモニタリングしながら、慎重に処置を進めていきます。
当院では、高血圧の患者様に対して、手術時間をできるだけ短縮し、心臓や血管への負担を最小限に抑える工夫を行っています。また、必要に応じて静脈内鎮静法を用いることで、患者様の緊張や不安を和らげ、血圧の急激な上昇を防ぐこともあります。
高血圧の方がインプラント治療を受ける際には、普段から血圧を適切に管理し、内科の主治医による定期的なフォローアップを受けていることが前提となります。治療前には、現在服用している薬剤や血圧の変動状況について、詳しくお伺いすることが大切です。
インプラント治療を受けるための具体的な条件
では、糖尿病や高血圧をお持ちの方が実際にインプラント治療を受けるためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?
まず第一に、全身疾患が適切にコントロールされていることが必須条件です。糖尿病の場合、前述のように血糖値が安定していることが重要です。高血圧の場合も同様に、降圧剤などによって血圧が適正範囲内に管理されている必要があります。
第二に、口腔内の状態が良好であることも重要な条件です。歯周病や虫歯などの口腔内疾患がある場合、まずはこれらの治療を優先的に行う必要があります。なぜなら、口腔内に感染源が残っている状態でインプラント手術を行うと、インプラント周囲炎などの合併症を引き起こすリスクが高まるからです。
第三に、十分な骨量と骨質が確保されていることが求められます。インプラント体を埋め込むためには、一定以上の骨の厚みと密度が必要です。骨粗しょう症などで骨密度が低下している場合や、長期間の歯の欠損により骨が吸収されている場合には、骨造成などの補助的な処置が必要になることがあります。
第四に、患者様ご自身の協力と理解が不可欠です。インプラント治療は、手術後の適切なケアと定期的なメンテナンスが成功の鍵を握ります。特に全身疾患をお持ちの方は、術後の感染予防や血糖値・血圧の管理をより慎重に行う必要があります。
また、喫煙習慣がある場合には、治療の成功率が大きく低下することが知られています。タバコに含まれるニコチンは血流を悪化させ、傷の治癒を遅らせるため、できれば禁煙していただくことが望ましいです。
当院では、初診時に詳しいカウンセリングを行い、患者様の全身状態、口腔内の状態、生活習慣などを総合的に評価します。そのうえで、インプラント治療が適応可能かどうかを慎重に判断し、患者様に最適な治療計画をご提案しています。

治療を成功させるために重要な注意点
全身疾患をお持ちの方がインプラント治療を成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。
まず、医科との密な連携が欠かせません。糖尿病や高血圧の治療を受けている内科の主治医と情報を共有し、インプラント治療を行うことについての了解を得ることが重要です。必要に応じて、血液検査の結果や服用中の薬剤に関する情報を提供していただくこともあります。
次に、術前の準備を徹底することが大切です。手術前には、口腔内のクリーニングを行い、細菌の量を可能な限り減らします。また、糖尿病の方は手術当日の血糖値を適切な範囲に保つよう、食事や薬の服用タイミングを調整していただく必要があります。
手術中は、衛生管理を徹底し、感染リスクを最小限に抑えます。当院では、クラスB滅菌器を使用した世界基準の感染対策を行っており、使用する器具はすべて厳格に滅菌処理されています。また、手術時間をできるだけ短縮し、患者様の身体への負担を軽減する工夫も行っています。
術後のケアも極めて重要です。手術後は、処方された抗菌薬を指示通りに服用し、感染を予防します。また、傷口を清潔に保ち、激しい運動や飲酒など、治癒を妨げる行為は控えていただきます。糖尿病の方は、術後も血糖値を適切に管理し、免疫力を維持することが大切です。
さらに、定期的なメンテナンスを欠かさないことが、長期的な成功につながります。インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同様に、プラークや歯石の蓄積が原因で発生します。特に糖尿病の方は、感染に対する抵抗力が低いため、より頻繁なメンテナンスが推奨されます。
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせたメンテナンス計画を立て、定期的なチェックとクリーニングを行っています。また、ご自宅でのセルフケアについても丁寧に指導し、長期的にインプラントを維持していただけるようサポートしています。
まとめ:持病があっても諦めずにご相談ください
糖尿病や高血圧などの全身疾患をお持ちの方でも、適切な条件と管理のもとであれば、インプラント治療を受けることは十分に可能です。
重要なのは、血糖値や血圧が安定してコントロールされていること、口腔内の状態が良好であること、そして医科と歯科が連携して治療を進めることです。また、患者様ご自身が治療に積極的に協力し、術後のケアやメンテナンスを継続していただくことも、成功の鍵となります。
「持病があるから」と諦める前に、まずは専門の歯科医院にご相談ください。当院では、カウンセリングを重視し、患者様一人ひとりの背景や健康状態を考慮したうえで、最適な治療方法をご提案しています。口腔内写真やレントゲン、CTなどの検査を行い、現在の状態を詳しく把握したうえで、治療のメリット・デメリットを丁寧にご説明します。
インプラント治療は、失った歯の機能を回復させ、生活の質を大きく向上させる可能性を持つ治療法です。全身疾患をお持ちの方でも、安心して治療を受けていただけるよう、私たちは最新の設備と豊富な経験をもとに、安全で確実な治療を提供してまいります。
歯を失ったままにせず、まずはお気軽にご相談ください。詳細については、赤坂ONO Dental Clinicの公式サイトをご覧いただくか、直接お問い合わせください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。
監修者プロフィール
院長 小野 雄大(おの たけひろ)先生

略歴
– 2015年3月:岩手医科大学 歯科医師臨床研修 修了
– 医療法人(秋田)、岩手医科大学放射線科、神奈川県内医療法人などで幅広く勤務
– 2024年2月:赤坂ONO Dental Clinic 開業
診療スタンス
– 丁寧なカウンセリングを重視し、口腔内写真やレントゲンを用いて現在の状態をしっかり説明
– 患者さまに治療内容のメリット・デメリットを理解していただいた上で選択してもらう治療方針を実践
– 自身も歯科治療の経験があることから、「患者さまに寄り添う治療」を大切にしている

