予防歯科治療について
- 2024年4月15日
- 予防歯科
予防歯科とは虫歯や歯周病になる前の予防を目的とした診療です。
ここでは虫歯、歯周病に罹患するとどのようなことが起きるのか、また罹患しないための対策を記します。
≪虫歯、歯周病で何が起きるの?≫
2018年に全国2,345の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査結果歯が失われる原因で最も多かったのが
「歯周病」(37%)で、以下「むし歯」(29%)、「破折」(18%)、「その他」(8%)、「埋伏歯」【注】(5%)、「矯正」(2%)
歯周病と虫歯による喪失歯は全体の6割強の割合となっています。
口臭検査・診断・治療を求めて来院された患者さん(約1,000名)の約1/3が口腔内の清掃状態不良に伴う口臭(生理的口臭)、1/3が口腔内の病気(歯周病)に由来する口臭です。
また、歯周病は、糖尿病、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの病気との関連性が報告されています。最近では「アルツハイマーと歯周病との関係性」の研究報告も出ています。
≪予防対策≫
セルフケアの強化、プロフェッショナルケア、フッ素が挙げられます。
・セルフケアの強化
回数と磨き方
食事をした後は口腔内のPHが下がり口の中が酸性の状態になります。この状態は歯の脱灰が起こりやすく虫歯になりやすい環境であるといえます。1日2回のブラッシング回数が多いとされていますが、食後には必ず磨くようにしましょう。
ブラッシングにおいて磨き残しの多い部位に歯と歯の接触部分(コンタクト部位)があります。虫歯、歯周病の好発部位です。フロスや歯間ブラシの使用を行っていない方が多い結果であるといえます。歯ブラシのみのブラッシングでは全体の歯垢の除去は70%程度に留まり、残りの歯垢のほとんどはコンタクト部分に残留しています。
積極的なフロス等の歯間清掃用器具の使用を推奨します。
・プロフェッショナルケア
歯科医院で行うクリーニングのことです。
歯石は歯周病の原因となります。個人のブラッシングでは除去できないため、歯科医院でのケアが必要となります。
ブラッシングをしない状況では約2週間ほどで歯石が形成されます。1か月に1度、少なくても3か月に1度は受診することをお勧めします。
また、虫歯は早期発見により小さな処置で済みます。小さい虫歯は無症状のことが多いのでクリーニング時や検診で早期発見早期処置が望ましいです。
・フッ素
年に1~2回歯面に塗布することにより
- 歯面の耐酸性の向上(脱灰しにくくする)
- 再石灰化の促進
- 細菌の酸産生の抑制(むし歯菌の働きを弱める)
等の効果を得られます。
また、洗口剤によるうがい、フッ化物含有の歯磨き粉の使用もありますがフッ素濃度が異なるためフッ化物塗布が1番効果的です。
(歯がフッ素を取り込み組成がハイドロキシアパタイト→フルオロアパタイトへと変化します。若い方のほうがフッ素を取り込みやすいです。)
海外では水道水にフッ素を含有させるフロリデーションにより歯質強化へ貢献していますが、日本では水道は飲料として使用されるため水道法により0.8ppm以下とされています。フッ素を歯に取り込む環境がないため是非行って欲しいです。
先進国で比較すると日本の受診率は断トツで低く10%未満となっています。日本は保険診療を充実させため虫歯になってからの対処療法になってしまった経緯があるので、歯科治療のレベルは高い人が多いのですが(たぶん手先も器用)予防治療は後進国になってしまった感があります。クリーニングの金額は1回2.000円程度(初診は4.000円程度)と海外に比べて比較的安価なので(アメリカだと州によっては半年に1回無料とかありますが)、将来に向けて定期的な歯科検診が推奨されています。
ちなみにスウェーデンでは20歳未満の国民は歯科治療にお金がかかりません…。