インプラント治療のメリット・デメリット・予算について
- 2024年5月18日
- インプラント
【インプラントとは】
インプラント治療とは失った歯の代わりに人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療です。
<歴史>
1950年代にスウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士の研究チームによって、チタンと骨が拒否反応を起こさず結合(オッセオインテグレーション)することが発見され、その後の研究を経て1960年代から人に対して応用が始まりました。
<構造>
インプラントは3つの部品からできています。
・歯を失った部位の骨に埋め込む人工の歯根(フィクスチャー)
・歯根の上に装着する人工の土台(アバットメント)
・土台の上に装着する人工の歯(上部構造)
<メーカーの信頼性>
現在インプラントメーカーは全世界で100種以上と言われています。その中でも4大メーカと呼ばれ、世界で大きなシェアを誇る信頼されるメーカーがこちらです。
スイスのStraumann(ストローマン)社
スウェーデンのNobel Biocare(ノーベルバイオケア)社
スウェーデンのAstra Tech(アストラテック)社
アメリカのZimVie(ジンヴィー)社
日本にも京セラや松風などのインプラントメーカーはありますが海外のメーカーと比較すると信頼性を獲得するまでは至っていません。海外勤務や留学を考えている方は4大メーカーであれば多くの国で取り扱っているのでこちらを選ぶと問題ないでしょう。
【インプラントとその他の欠損補綴のメリット・デメリット】
初めに、欠損した部位に何も治療しない場合、噛むことが難しくなる、他の歯への負担が大きくなるので周りの歯が早期にダメになる可能性がある、発音しにくくなる、欠損部位の周りの歯や対合の歯の移動が起こる(欠損したことでできた空隙を他の歯が傾いたり、噛み合わせしていた歯が挺出し埋めようとします。)等が起きるので、治療は必須です。
<ブリッジ>
歯を失った部位の両隣の歯を大きく削って土台とし、そこに連結された被せ物を接着する治療です。支台歯と被せ物を接着剤で固定するので、取り外しができる入れ歯より違和感が少なく安定し、しっかり噛むことができます。
デメリットとして支台となる歯を大きく削らなければならないこと、2本の支台で3本分の歯を支えるため、過度の力が加わり歯が割れることもあります。(特に根の治療を行った後の歯を土台にした場合に割れやすくなります。)歯の割れ方によっては抜歯となります。
また、ダミーの歯の部位には汚れが溜まりやすく歯周病のリスクが高くなります。同部位の骨が経年的に下がるので歯と歯茎の間の隙間が少しずつ大きくなる、骨がやせ細っていくので歯のない部分だけへこんでいる見た目になります。見た目を気にする方は特に前歯部には取り入れないほうが良いでしょう。
<入れ歯>
人工歯が並べてあるプラスチックでできた入れ歯を装着し歯を補う方法です。部分入れ歯の多くは金属のワイヤー(クラスプ)を残っている歯に引っ掛けて主に安定させます。クラスプをかけた歯は大きな負担がかかります。取り外しができるため、清掃性は良いのですが、ワイヤーの変形によるかたつきや異物感がとても大きいため、慣れが必要となります。
<インプラント>
インプラントはブリッジ・入れ歯とは違い、大きく歯を削ったりクラスプをかけたりする必要がないので、周りの歯への影響や負担が少ない治療法です。
・メリットとして他の歯への負担が少ない(周りを削らない、咬合圧の負担)、強く噛むことができる、審美的に良い、虫歯にならない、固定されるため取り外しがいらない等他の2つに比べて歯としては自然に近い形を保つことができます。(完全に自然な状態に戻るわけではありません。)
・デメリットとして、基本自費のため(条件次第で保険適用もあります。)高額、治療期間が4か月~1年と長期に渡る(インプラント体と骨の接着のための期間が必要、また骨が少なく造成が必要な方はさらに期間が必要です。)、天然歯と比較しインプラント体と粘膜との接着が弱いため感染しやすく歯周病のリスクが上がる、手術が必要となる等があります。
<料金>
インプラントの金額に関しては、自費であることとメーカー、使用材料によってクリニックで異なりますが消費税を含め総額おおよそ400.000~600.000が相場であると思います。
(10万円以上の高額医療なので医療費控除を受けられます。)
低価格でのインプラント提供は総額ではなく埋入のみの金額表示であったり、信頼性の低いインプラントの使用そのため保証がない場合があるので注意が必要です。
体内に入れるものなので、信頼性のあるメーカーの使用を推奨します。
<寿命>
個人差はありますが、それぞれの治療の平均寿命は入れ歯は3~5年、ブリッジ6~8年
、インプラントは10年予後は90~95%の生存率とされています。
それぞれの生存率をあげるため定期健診を受けることを推奨します。
【当院のインプラント】
当院はAstraとstraumannのNEODENTを取り扱っております。
・Astra:アストラテックインプラントシステムは、辺縁骨の維持を可能にし、5年後の辺縁骨の吸収は平均0.3mmで、標準的な基準である1.5mmよりはるかに少ないレベルです。骨の骨の減少が少ないため審美に向いているインプラントと言えます。
アストラテック インプラント(Astra Tech Implant)とは、スウェーデンのアストラテック社が開発し、日本では1996年から使用されています。
・NEODENT:深いスレッドとテーパー(インプラント体の溝)が存在し初期固定の獲得に重きを置いています。骨質が良くない、柔らかい骨にもしっかりと埋入できます。抜歯を行い即時にインプラントを埋入することが可能で治療期間の短縮ができます。
また、表面性状は歯周病に強いstraumannと同じものとなっております。
2015年にstraumann社が買収し完全子会社となりました。
【まとめ】
インプラント治療を受ける際は、クリニックでの説明が分かりやすく、過不足なくされていること、また、予算、材料、治療計画等をご自身も理解をしてから治療を受けると良いでしょう。