即日インプラントとは?治療の流れとリスクを徹底解説
- 2025年11月18日
- インプラント
即日インプラントとは?従来の治療法との違い
歯を失った際の治療法として注目を集めている「即日インプラント」。
従来のインプラント治療では、インプラント体を顎の骨に埋め込んでから上部構造(人工歯)を装着するまでに3~6ヶ月もの期間が必要でした。その間、患者様は歯のない状態で過ごすか、取り外し式の入れ歯を使用しなければなりませんでした。しかし、即日インプラント(1Dayインプラント)は、この常識を大きく変える治療法です。
即日インプラントとは、インプラント体の埋入手術を行ったその日のうちに仮歯を装着し、帰宅後すぐに食事ができる画期的な治療法を指します。手術当日に歯のある状態を取り戻せるため、見た目の問題や食事の不便さといった精神的・身体的ストレスを大幅に軽減できます。
従来の治療法との最大の違いは「治療期間の短縮」と「手術回数の削減」です。通常のインプラント治療では抜歯後に数週間から数ヶ月の治癒期間を設け、その後インプラント埋入手術を行い、さらに骨結合を待つという複数のステップが必要でした。一方、即日インプラントでは抜歯とインプラント埋入を同日に行う「抜歯即時埋入法」を採用し、治療期間を大幅に短縮します。

即日インプラント治療の具体的な流れ
実際の治療はどのように進むのでしょうか?
即日インプラント治療は、綿密な事前準備と高度な技術によって実現されます。治療開始前には、レントゲン検査やCT撮影を行い、顎の骨の量や質、神経の位置などを正確に把握します。これらのデータをもとに、3Dシミュレーション技術を活用して最適なインプラント埋入位置を決定し、サージカルガイドと呼ばれる精密な手術用テンプレートを作製します。
手術当日のスケジュール
手術当日は、まず健康状態や歯肉のチェック、クリーニングなどの準備を行います。その後、局所麻酔または静脈内鎮静法を使用して手術を開始します。静脈内鎮静法を選択すれば、半分眠ったようなリラックスした状態で手術を受けることができ、「気がついたら治療が終わっていた」という患者様も少なくありません。
インプラント体の埋入には、事前に作製したサージカルガイドを使用します。これにより、計画通りの位置に正確にインプラントを埋め込むことが可能になります。必要に応じて骨造成や結合組織移植も同時に行います。埋入後、インプラントと骨の結合状態(初期固定)が十分であることを確認したら、上部構造を製作するための型取りを行います。
上部構造が完成するまでの間、患者様は個室の回復室でゆっくり休憩できます。多くの場合、手術開始から上部構造の装着まで約7~8時間程度で完了します。仮歯が装着されたら、その日のうちに帰宅でき、帰宅後すぐに食事も可能です。
治療に必要な通院回数
即日インプラントでは、インプラント埋入までに必要な通院回数を大幅に削減できます。初回の診察・検査、そして手術当日の2回で埋入から仮歯装着まで完了するケースが一般的です。その後、定期的なメンテナンスと最終的な上部構造への交換のための通院が必要になりますが、従来の治療法と比較すると通院負担は大きく軽減されます。
即日インプラントのメリットとデメリット
どんな治療法にも長所と短所があります。
即日インプラントの主なメリット
最大のメリットは、手術当日に歯が入るという点です。歯がない期間がほとんどないため、見た目への影響を最小限に抑えられます。特に前歯など目立つ部分の治療では、この利点は非常に大きいと言えるでしょう。また、会話や食事の不便さも早期に解消されるため、日常生活への影響が少なくなります。
治療期間の短縮も大きな利点です。従来の治療法では半年から1年程度かかっていた治療が、数ヶ月程度に短縮できます。手術回数も1回で済むため、身体的・経済的負担が軽減されます。手術費用を考えれば、トータルの費用も抑えられる可能性があります。
さらに、抜歯窩(歯を抜いた穴)にすぐインプラントを埋入することで、抜歯後に起こりがちな顎の骨の吸収(痩せ)を防ぎやすくなります。骨量の維持は、長期的なインプラントの安定性にも寄与します。
即日インプラントのデメリットと注意点
一方で、即日インプラントにはいくつかの制約もあります。まず、すべての患者様が適応となるわけではありません。治療部位に十分な骨の厚みや深さ、密度が必要です。骨量が不足している場合は、まず骨造成術によって骨を増やす治療が必要になり、即日での治療は困難になります。
また、歯周病や歯根の嚢胞などによって強い炎症が起きている場合も、即日インプラントの適応外となります。感染リスクが高い状態でインプラントを埋入すると、インプラント周囲炎などの合併症を引き起こす可能性があるためです。
喫煙習慣がある方も注意が必要です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を悪化させます。これによりインプラント体と顎の骨の結合が阻害され、治療の成功率が著しく低下します。即日インプラント治療を希望される場合は、治療前の禁煙が強く推奨されます。
手術時間が通常のインプラント治療よりも長くなる傾向があることも考慮すべき点です。患者様の状態や埋入本数によって異なりますが、1時間以上かかるケースもあります。ただし、静脈内鎮静法を併用すれば、患者様の負担は大幅に軽減できます。

即日インプラント治療のリスクと安全性
高度な技術を要する治療だからこそ、リスクの理解が重要です。
治療を安全に行うための条件
即日インプラント治療を安全に行うためには、いくつかの重要な条件があります。第一に、十分な周囲骨の残存が必要です。抜歯する歯の周囲、特にインプラントを支える顎の骨が十分に残っていなければなりません。骨量が不足している場合、インプラントの固定が不安定になり、脱落や感染のリスクが高まります。
第二に、炎症や感染の不在が必須条件です。抜歯部位や周囲に大きな炎症や感染がある状態では、インプラントの失敗リスクが極めて高くなります。事前に歯周基本治療や根管治療を行い、口腔内の衛生環境を整えることが不可欠です。
第三に、良好な全身状態が求められます。糖尿病や心疾患、脳血管疾患などの全身性疾患がある場合、創傷治癒の遅延や術中・術後の合併症リスクが高まります。糖尿病の場合、HbA1c値が7.0以上だと治療が困難になる可能性があります。血糖コントロールが整っていれば治療可能なことも多いため、主治医との連携が重要です。
高度な技術と経験を持つ歯科医師の重要性
即日インプラントは、通常のインプラント治療以上に高度な技術と豊富な経験を必要とします。インプラント埋入時の初期固定(35Ncm以上)を確実に得ること、即時荷重法に対応したインプラントシステムを使用すること、咬合調整を適切に行えることなど、多くの専門的スキルが求められます。
知識や経験を伴わないまま即日埋入を行うと、治療の経過に悪影響を及ぼす可能性や、感染症・インプラント周囲炎などの合併症リスクが高まります。そのため、術前には精密な診断・治療計画が必要であり、十分な経験と知識を持つ歯科医師による対応が重要です。
長期的な成功のためのメンテナンス
即日インプラント治療後の長期的な成功には、適切なメンテナンスが欠かせません。インプラントは天然歯とは異なり、歯周靭帯がないため、一度炎症が進むと歯周組織を失いやすいという特性があります。定期的な検診とプロフェッショナルケアを受けることで、インプラント周囲炎などのトラブルを予防できます。
また、日々のセルフケアも重要です。適切なブラッシングやフロッシングを継続し、口腔内の衛生環境を良好に保つことが、インプラントの長期的な安定につながります。
まとめ:即日インプラントを検討する際のポイント
即日インプラントは、治療期間の短縮と患者様の負担軽減を実現する画期的な治療法です。手術当日に歯が入るため、見た目や食事の不便さといったストレスを最小限に抑えられます。手術回数も1回で済むため、身体的・経済的負担も軽減できます。
ただし、すべての患者様に適応できるわけではありません。十分な骨量、炎症のない健康な歯肉、良好な全身状態が必要です。喫煙習慣がある方は、治療前の禁煙が強く推奨されます。また、高度な技術と豊富な経験を持つ歯科医師による治療が不可欠です。
即日インプラント治療を検討される際は、まず信頼できる歯科医院で精密な検査を受け、ご自身の口腔内の状態や全身の健康状態を正確に把握することが大切です。治療のメリットだけでなく、デメリットやリスクについても十分に理解した上で、担当医とよく相談しながら最適な治療法を選択しましょう。
赤坂ONO Dental Clinicでは、カウンセリングを重視し、患者様一人ひとりに合わせた治療提案を行っています。口腔内写真やレントゲンを一緒に確認しながら、現在の病態や治療の選択肢、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明し、患者様の納得を得た上で治療を開始します。インプラント治療に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
詳しい治療内容や診療時間については、赤坂ONO Dental Clinicの公式サイトをご覧ください。赤坂駅7番出入り口から徒歩1分という好立地で、平日は22時まで、土日も18時まで診療しています。
監修者プロフィール
院長 小野 雄大(おの たけひろ)先生

略歴
– 2015年3月:岩手医科大学 歯科医師臨床研修 修了
– 医療法人(秋田)、岩手医科大学放射線科、神奈川県内医療法人などで幅広く勤務
– 2024年2月:赤坂ONO Dental Clinic 開業
診療スタンス
– 丁寧なカウンセリングを重視し、口腔内写真やレントゲンを用いて現在の状態をしっかり説明
– 患者さまに治療内容のメリット・デメリットを理解していただいた上で選択してもらう治療方針を実践
– 自身も歯科治療の経験があることから、「患者さまに寄り添う治療」を大切にしている

