歯がしみる!知覚過敏症について。
- 2024年9月19日
- 一般歯科
【知覚過敏とは】
虫歯などがないにもかかわらず、歯ブラシが当たったときや冷たいもの、甘いものなどが触れたときに感じる一過性の痛み。
【歯の構造】
歯は三層構造になっています。
外側からエナメル質(orセメント質)→象牙質→神経となっています。
最外層のエナメル質は私たちが視認することのできる、いわゆる歯であり96%が無機質となります。歯の根の部位にはエナメル質は存在せずセメント質という外層になります。
象牙質は約70%が無機質であり全体に象牙細管と呼ばれる0.8~2.2㎛の管が神経からエナメル質側に伸びています。
1番内側は神経が存在しています。しみるや痛みの知覚は全て神経が受容しています。
【作用機序】
エナメル質やセメント質は削っても痛みなどはありません。
虫歯以外の何らかの理由で2層目の象牙質が露出し、擦過や冷たいものなどの刺激があると、象牙細管を満たしている内容液を伝って刺激が神経に伝わります。
神経は痛みの受容器なので、刺激が痛みとして発現します。
【主な原因】
・不適切なブラッシング
毛先が乱れている歯ブラシの使用や毛先の硬さが硬いもの、過度の力を加えるブラッシングを行うことにより、エナメル質(セメント質)が少しずつ削れ象牙質が露出します。
・歯茎の退縮による根の露出
加齢、歯周病などにより歯茎が下がります。歯の根にあるセメント質は薄く剝がれやすいため象牙質の露出が起こります。
・歯の咬耗・摩耗
歯ぎしりや食いしばりがあると過度の力が加わるため歯は少しずつ咬耗します。
・酸蝕症
酸を扱う職業の方や酸性飲食物の過剰摂取、繰り返しの嘔吐はエナメル質が溶けていきます。(PH5.5以下でエナメル質は溶け始めます。)
・ホワイトニング
ホワイトニングの薬剤により知覚過敏症状が発現することがあります。
【治療】
《原因を取り除く》
発症の原因が何かを特定し、それぞれの対処が必要です。
歯磨きの仕方、酸性飲食物の過剰摂取など生活習慣の改善が必要です。治療によって症状の緩和を認めても、生活習慣の改善がなければ再び知覚過敏症が発症します。
また、歯茎を下げてしまう歯周病の治療やマウスピースなどによる歯ぎしり食いしばりへの対策が必要な方もいます。
《症状に対する治療》
・知覚過敏抑制材料による細管の封鎖
抑制剤を塗布することにより細管内に抑制剤が入り込み刺激の遮断をします。
・CO2レーザーによる細管の封鎖
低出力レーザーにより象牙質表面を溶解し細管の封鎖を図ります。
抑制剤は全ての細管内に入らないこともあるためレーザーはより痛みの軽減を期待できます。
・プラスチック材料(コンポジットレジン)による充填
露出している象牙質面にプラスチックを充填します。プラスチックの充填は歯を一層削合し新鮮面を出して充填するため、症状が重い症例では痛みが強くなる方もいます。
・神経治療
症状の改善を認めない症例では痛みを取り除くため神経処置を行うこともあります。
【予防】
歯の根部の象牙質の露出を防ぐには歯周病の予防に努めることと、歯肉の退縮が進みやすいような不適切な歯みがき法をしないことです。またプラークが付着した状態が長く続けば、歯の表面が虫歯菌が出す酸により溶けて、知覚過敏が起きやすくなります。
歯磨きに関しては過度のブラッシングを避けるために歯ブラシの毛先の硬さの選択(症状がある場合は柔らかめを使用する。)、歯ブラシの持ち方(ペングリップが良いとされています)を注意することが大事になります。
また、知覚過敏用の歯磨き粉を使用しましょう。
歯磨き粉に硝酸カリウムという成分を含ませて、継続して使うことで、カリウムイオンが神経周囲を取り巻き神経を興奮させない働きがあり知覚過敏の改善効果があることが確かめられています。(シュミテクトなど)
歯ぎしり食いしばりのある方はマウスピースの装着をお勧めします。
知覚過敏症は症状が悪化すると虫歯ではないにも関わらず、神経を取り除く治療を行わなければならなくなります。
症状が軽微であれば生活習慣の改善だけで、口の中で再石灰化がすすみ痛みがなくなる場合も多いです。
しみるなどの症状がある方は歯科で確認するのが良いと思います。